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日比野日誌

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 中華料理の高級素材、フカヒレ。大型のサメの尾ビレや背ビレを乾燥させたものです。
宮城県気仙沼市は、そのフカヒレの生産地として名高いところです。
本場・中国でもその名声は通っており、江戸時代から輸出をしていました。

 昨年の大震災では、三陸海岸の多くの街が被害に遭い、水産加工物は大打撃を受けました。
気仙沼のフカヒレも9割近くが海の藻屑となりましたが、
なんとか地元の名物を守ろうと、残ったわずかなフカヒレが、冬の風に寒干しとなっています。

 さて、11〜12月頃に寒風にさらされたフカヒレが、その後いろいろな加工をされ、最高のかたちとなってくるのが1〜3月。
「乾燥品を使うので旬なんかない!」なんてことを言う人もいますが、なんのなんの。
問屋さんには、まさに「中華料理の王者」が並びます。

 そのフカヒレを使ったのがフカヒレのすし。
煮込んだものを丸ごと使うのが姿ずしで、細かくばらしたのが軍艦巻き。
できたのは最近(といっても20年ほど前には有名になっていましたが)。しかし、その風格たるや、堂々としたものです。

 東北大震災の後。三陸の街は着実に復興しています。
がんばれ、気仙沼! がんばれ、日本一のフカヒレの街! がんばれ、フカヒレずし!

ふかひれすし

 信長、秀吉と来ましたから、次は家康ですよね。
徳川家康。言うまでもなく、江戸幕府を開いた人です。 

 家康とすしのつながりで言えば、ひとつは名高い「光秀によるアユずしのもてなし」事件。
徳川家康をもてなすように織田信長から命じられたのが明智光秀…、という話は、
このコーナー、二つ前「すしとあの人・9 織田信長」を参照のこと。

 さて、江戸幕府といえば献上ずし。各地の大名たちから幕府に献上されるすしがあったのです。
その起源となるのが、徳川家康・秀忠父子でした。 

 関ヶ原での勝戦を願い、戦い、そして戦に勝ち…。
岐路途中、岐阜という町に立ち寄ります。そこで食べたのが、長良のアユずし。

 長良のアユ自体が天下の名物です。そのすしですから、もう美味! 
家康も秀忠も「うまい!」と賞翫の声をあげました。

 喜んだのは、家康たちにアユを食べさせた人。
「世の天下人が『うまい』とおっしゃった。これは、毎年、このすしを味わっていただくことにしよう」

 こうして岐阜のアユずしが、毎年、家康・秀忠に献上されることになり、その後、その役目は尾張藩の徳川家がとって代わりました。

 全国各地で、似たようなもの、同じようなことが起こりました。
おかげで10数藩が、江戸幕府にすしを送ることになりました。

 とは言え、ま、ほとんどが実話かどうか、わかりませんがね。

 で、時代は下って、家康が死に、秀忠が死に、三代将軍の頃になると、この献上ずしは、その名前だけが残ります。
いや、形だけが残ったのではなく、いっそう豪華になって残ってゆきました。

 会ったこともない家康が食べたおすしを、無難に作り上げ、運ぶ…。
その名声維持のために、制度がしっかり整えられてゆきます。

 世界遺産に輝く熊野路のサンマずしです。

 古くは発酵させるすしにされました(もちろん、今でも好きな人は発酵ずしにします)が、今は酢を当てたすしが一般的です。

こちらは、昔より今の方が盛んに作られているようです。新鮮な魚さえあれば、普通の家の主婦でも作ります。

 北の方から戻ってくるサンマは、三陸から千葉にかけては脂が乗っていておいしいのですが、実はすしには不向き。

脂が多すぎるのです。ですから、それよりはるか南の熊野まで泳いでくると、脂も落ちて、すしに好適なサンマになるのです。

 そのサンマずしを食べる祭りが、三重県熊野市にあります。

 産田神社。

日本神話に登場するイザナミノミコトが火の神・カグツチノカミを産んだ場所として伝えられているところで、

それにちなんでこの神社では、1月15日、「子供の安産と健やかな成長」を願う「おとう祭り」が行われます。

「おとう」というのは「神様にお供をしていただく、尊い(とうとい)ご飯」のことで、それが略されたものだといいます。

 そこでふるまわれる「奉飯」というお膳に、サンマずしが乗っています。

ただ、このサンマずし、普通のサンマずしとはちょっと違い、背骨を残したままの腹開きとなっています(写真左。右側は普通のサンマずし)。

サンマずし

 「一本、骨のある(芯の通った)人になってほしい」という願いがあるそうですよ。

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