すしの雑学
*「すし屋のカウンターにて」編 その53*
2010.08.04
カウンターじゃ見かけませんが、すしの盛り方の話です。
「すし1人前」と頼むと、たいていは、浅い桶の中に
(昔は白木の桶だったといいますが、近年は塗り物がほとんどです)、
キレイに盛りつけられたものが出てきます。出前の時に、よく目にしますよね。
さて、あの盛りつけ方。昔はそうでなかったのをご存じですか。
昭和の初めまでは、握りずしの盛り方というのは、
桶の中に積む、いわゆる「桶積み」というものでした。
1段並べたらその上にさらに1段…という具合に、5〜6段積むのです。
1人前のすしでも、握りずしをわざと立てたり斜めにしたりさせたものです。
細巻きでも必ずひとつは、切り口が上向きになるよう積まれ、
決して「流す」ものではありませんでした。
数があればピラミッド状に高く重ねる「杉なり」という盛り方もしたんですが、今は…。
*その53*
2010.08.04
料亭ばりの店舗を構えた商売と、店を持たない屋台での商売。
一般には、「店を出すだけの裁量のない人がやってるのが屋台の商売」と言われ、
屋台で一生懸命働いて、カネをため、ようやく店を持つ、なんて人もありました。
こういうところの屋台ですしを食べた人は幸せです。
金はかけなくとも、何とか客においしいものを食べさせようとするからです。
でも、現実にはそうはいかないことも…。
昔のすし屋の屋台は、夜になるとゾロゾロ出たものです。
酔客も多かった。「どうせ一杯ひっかけているヤツらだ。味なんかわかるもんけぇ」と、
たいしてうまくもないものをとんでもない価格で売りつける屋台もいたんです。
そうかと思えば、料亭の主を引退した人が、
小遣い銭稼ぎのためにやっている屋台もありました。
材料は料亭そのもの。しかも屋台だから安い!
店選びがむずかしいことは、今も昔も変わらないようで…。
*すしな*
2010.08.04

ずいぶん豪勢なおすしでしょ?
千葉県の漁村部では住民たちは、
祭りや盆・結婚式など大勢が集まる時になると、こんな握りずしを作りました。
これはやや遠慮がちに握っていますが、本来はもっと大きなもの。
おにぎりサイズのものもありました。
昔はすしタネ(上に乗る魚)を総称して「すしな」と言いましたが、
やがてこの握りずし全体のことを指すようになりました。
しかしその名前さえも知っている人が減って、今は「田舎ずし」とか「田舎握り」とか呼んでいます。
もっとも最近じゃぁ、こんな面倒くさいもの、だれも作りはしませんが…。
江戸前の握りずしといえばタネを先に取り、
それからご飯を握りこんでゆくのですが、こちらは一般家庭の主婦が作ります。
まずはご飯だけを握っておき、客の顔を見たら、上に魚を貼るのです。
時には客の顔を見て、
「あ,あの人は青身がキライだからアジはやめて、代わりにイカをたくさん乗せて…」
と、そんな具合です。
上に乗せる魚は何でもよいのです。
ワラサ(若ブリ)、イカ、アジ、イワシ、サンマ…。
ソボロやシイタケなどもすしダネになるんですね。
さて、写真の左。サンマとワラサにはさまれているすしダネは何でしょう。
これがマンボウ。グニャグニャしてて刺し身にはしにくい、
いや、一般にはまず手に入りませんが、夏だけの珍味です。








