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日比野日誌

すしの雑学

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握りずしを数える時、「1カン」「2カン」と言いますね。ではこの「カン」って、いったいどういう意味でしょう。

まず、「すし1カン」の指す内容です。これは「すし1個」という意味。だからこそ、「玉子ね」と頼むと「あいよっ」とすしが2つまとまって出てくる今のような営業スタイルを「2カンづけ」と呼ぶんですね。
すしが2個ずつだから「2カンづけ」。ところが…。

昔はすしがとても大きくて、ひと口じゃおさまらない。だからひとつをふたつに切って客前に出した。この切ったひとつが今のすしの大きさで、ふたつまとまってはじめて大きなすし「1カン」になる。
だから、1カンと言うのは、今のサイズのすしがふたつ分だ。

一見「なるほど」と思える説ですが、この説にしても、大きなすしひとつを数える時に「1カン」とやっているわけです。
やはり「すし1個」が「1カン」でしょう。

*その49*

2010.04.04

明治に入ってからの江戸、いや、東京のすし屋のことを書いておきましょう。

明治16年(1883)刊の『東京名家繁盛図録』は東京の街にある名店の紹介本で、すべて外観のイラスト入り。この中に、すし屋が4軒登場しています。握りずしの祖を誇る「与兵衛寿司」、ぜいたくずしの本道「安宅松寿司」のほか、「けぬき寿司」「東寿司」です。むろん「名家」を標榜するだけあって、高級料亭ばりの立派な店構えばかり。与兵衛ずしなど、かつての屋台の面影なんか、どこにも見当たりません。

その与兵衛ずしが、明治10年(1877)の内国勧業博覧会に出品する目的で画家に書かせた、当時の与兵衛ずしが出していたすしの絵が、今、はがきとなって残っています。原本は、おそらく戦災にあってしまったのでしょう、所在がわかりません。とにかく、握りずしを発明した当初のすしダネの詳しい描写は、これが最初で最後だったでしょう。

シロハタずし
「シロハタ」ってご存じですか。

「いやぁ、ハタハタだったら知ってるけど、シロハタってのは知らないなぁ」とおっしゃる方。
そうです、そのハタハタのことです。日本海特産で、冬から春にかけての味ですね。

鳥取県では11月から5月が漁期で、4月が水揚げのピークの時。浜は賑わいます。鳥取市の漁港・賀露もいつも以上に活気づきますが、特に4月29日は春の大祭日。各家庭ではこのシロハタのすしをたくさん作って、客をもてなします。

すしといっても、ご飯は使いません。使うのはオカラ。これを炒って甘酸っぱく味をつけ、背割りにしたシロハタの腹に詰め込みます。桶や箱の中に詰めて軽い重石を置き、せめて翌日、ぜいたくを言えば3〜4日おいて、味が落ち着いてから食べます。祭りの日にはもちろんですが、このすしは冬の間中、シロハタが獲れたら作るものでした。厳寒期だったら、1ヶ月ほど持つものです。こうなると、発酵ずしですね。

やわらかなシロハタの身に、口の中でほどけるオカラの味。中に入った麻の実が、
なんだかとてもおしゃれな感じですが、全体として、とっても優しい味覚です。

県の無形民俗文化財にも指定されている賀露神社の春祭り。
テンポが早くて、漁港にふさわしい勇壮な舞い方が特徴ですが、このすしのような優しい味も味わってみてください。

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