すしの雑学
「すし屋のカウンターにて」編 *その45*
2009.11.26
「ねじり鉢巻き」というのは、一見いさましく、また威勢がよいようにも見えますが、あまり「衛生的」とは思えません。だからでしょうか、手ぬぐいは、今のすし屋ではほとんど見られません。皆さんのごひいきのすし屋さんはどうですか。
鉢巻きというのは前から巻いて後ろで止めるもの。運動会で巻くタイプのものですね。ねじり鉢巻きのように後ろから巻いて前頭部で止めるものは、「むこう 鉢巻き」といいます。念のため。ついでにいっておきますと、すし屋がまだ売り歩いている頃、頭には手ぬぐいを巻いていたようです。ねじり鉢巻きではなく、 大尽(だいじん)かぶり。別名「吉原かぶり」と呼ばれるもので、色っぽい街に出入りしていたことがうかがえます。
本当にめずらしくなった手ぬぐいですが、時々、もらうことがありますね。「○○ずし、オープン記念」なんかで。あれ、いったい、どう使えばよいのでしょう。
その活用法、次号にて紹介しましょう。
*その45*
2009.11.26
はい、松百ずしの話です。「松百」とは、能登半島にある地名です。
名前だけは有名であるにもかかわらず、中身は不詳。はっきり「中身はこれである!」と書いておいてくれればいいものを…。おかげで地元でも「アユだ」「イセゴイ(ボラ)だ」「ヤドカリだ」などと噂され、その余波は江戸にまで及びます。いわく「蛇のすし」だと。
たしかにタツノオトシゴだとする伝説が、地元にはあります。タツノオトシゴの別名は「蛇の子」。たから松百ずしとは「蛇の子のすし」…、であればよかったのですが、伝わるにつれ「蛇の子」の「子」が落とされて「蛇のすし」になってしまいました。
悪いことに、江戸の街には「蛇」のすしを連想させるものがありました。めずらしいものの代名詞として「蛇のすし」がありましたし、実際に食べた人の感想 まで書かれる始末。もちろんこんなものは実話ではありませんが、実際に「蛇の目ずし」というすし屋がありました。ですから、蛇をすしにした「松百ずし」が ある、と噂されたのですが…。
*イナずし*
2009.11.26
宮座とは神社に奉仕する氏子の集団です。祭りの世話、お供えやお斎(食事)の準備などを当番制でまわし、特に西日本に多く見られるものでした。
わが国有数の都市・大阪市には、かつて多くの「宮座」がありましたが、今はほとんど壊滅状態です。そんな中、福島区海老江の八坂神社には、宮座が残って います。祭りも、小正月のキョウ、秋のキョウ、御火炊きのキョウの3つが伝わっています。今回ご紹介するのは12月15日の御火炊きのキョウ、別名、霜月 の宮座に登場するお供えです。
宮座が行うお供え作りは厳重です。使う道具は、前年に務めた当番の人から受け継ぎ、買い物はすべて男性が行います。ご飯は、かつては淀川の水で洗って炊いていましたが、さすがにこれは中止となりました。
白蒸し、菊花(豆腐とダイコン、サトイモで作るお供え)、こま犬さん(蒸しご飯を盛ったお供え)などユニークな神饌が並びますが、最も変わっているのがイナずしでしょう。イナとはボラの幼魚で、その腹の中に蒸したご飯を握って詰め込みます。
イナはナマ魚。内臓もここで取る、つまり「活きがいい」もの。その腹にご飯だけ。塩味もつけず…。すなわちこのすし、酸っぱくなる要員は持っていないのです。
酸っぱくないのにすし…。理由はわかっていませんが、日本でも数少ない例でしょう。








