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日比野日誌

すしの雑学

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すし屋の職人の上着ってのには「洋服タイプ」のもあります。いえ、先号でお話ししたものの中にも洋服はあるのですが、あれは下着のアンダーシャツが見えた り隠れたりするもの。いかにも「いなせ」な感じがするものでした。あ、「いなせ」って「イナの背中」を意味するもので、日本橋の魚河岸の若者がしていた髪 形が魚の姿に似ていることから「鯔背銀杏(いなせいちょう)」と呼ばれたことに由来します。威勢のよさが感じられますね。
でも今はそうではなくて、もっと「制服」らしいもの。下にはアンダーシャツではなく、白いワイシャツに黒か紺のネクタイ。ほら、こういうファッションのすし屋さんって、案外、いるでしょう。ワイシャツのえり元がキチッとしていると、店全体が引き締まります。
でも、このファッション。誰にも似合うのが欠点かもしれません。最近流行している回転ずし屋のアルバイトのニイちゃんも、たしかこいつを着て握ってたなぁ…。いや、個人的な嗜好の問題ですが…。

*その44*

2009.10.28

加賀藩から将軍家へ贈られた松百ずし。「松百」とは能登地方にある地名で、名声はかなり高かったのですが、その中身になると、まったく世に知られていないものでした。何を漬けたすしだったか、わかっていないのです。
そこで、いろいろな説がささやかれるようになりました。「あれはイセゴイのすしだ」と…。イセゴイ。それはボラの別名でして、松百のある七尾市はボラの 産地として知られたところです。ところが別の人は「いや、アユだ」と主張します。また別の人は「ゴリ」だと言いました。ゴリとはカジカのことです。さらに 「がうな」というヤドカリを漬けたものだという説もあります。圧巻は「タツノオトシゴを漬けた」とする説まで出てきました。
これらはすべて、江戸時代から明治時代の書籍、多くは地元の資料によるものです。いかにいい加減…、いや、謎に包まれていたすしか、おわかりでしょう。本当に、わかっていないのですが…、あ、また紙幅にゆとりがない。以下、次号です。

4411月23日は、栃木県宇都宮市上河内町の祭り。今里の地では収穫を盛大に祝い、約300年前からの歴史を持つ羽黒山の祭礼・梵天(ぼんてん)祭りが開 かれます。五穀豊穣や家内安全を願って梵天、すなわち、房がつけられた長い竹竿を若者がかつぎ、威勢よく「ホイサ、ホイサ」のかけ声をかけ、頂上にある羽 黒山神社まで3kmほどの参道を練り歩くものです。もちろん、市内の人だけに限らず、県内や県外からも、多くの見物客が集まります。
この祭りに欠かせないのがアユのくされずし。7月頃に鬼怒川で獲れたアユを11月の半ばまで塩漬けにし、ご飯に漬け直し、一週間ほど発酵させたもので、 酢は一滴も使っていません。めずらしいのはダイコンを一緒に漬けることですが、漬け上がった時、このダイコンは食べません。捨ててしまうのです。あるい は、臭みを取るだけに入れているのかも知れません。
地元の紹介誌などで「アユのくされずし」が載っているのを見ると、桶の中に立派な姿のアユが漬けてあるのが出ていることでしょう。でも、現実には姿ぐる みで漬けることはされていません。アユが豊富にいた頃ならともかく、ダム建設で、アユは遡上しなくなりました。だから今のアユずしは、アユが細かく切り刻 んであるのです。
時代の流れ、なんでしょうかねぇ…。

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