すしの雑学
「すし屋のカウンターにて」編 *その36*
2009.02.27
「和食は目で食べさせる」なんて言われるくらい、配色って大切なんです。「基本五色」というのがありまして、白・黒・赤・黄・緑。白は清潔感を与えます。 ごはんの色ですね。赤と黄色は食欲増進。マグロやサケ、イクラ、そして玉子焼きなど、なんとも食欲をそそります。黒は、全体を引き締めるんだそうです。ご く一般的なすし桶って、黒ですよね。
じゃぁ、緑色は?というと、安定感。人間、緑が目に入ると、落ち着くんだそうです。そういえばすし桶の中にも、緑のものが入っています。昔は笹の葉など を使いましたが、近ごろはビニール製がほとんど。そう、ハランです。あれは、食べるために入れてあるんじゃありません。隣とくっつかないためでもありませ ん。落ち着くため、なんです。
ウソだと思うのだったら、今度いっぺんやってみてください。立派なすし盛りを注文して、そこから緑色のハランだけ取っちゃう…。なんか、変ですよ~。
*その36*
2009.02.27
ここでちょっと、江戸以外のおすしについて触れておきましょう。
箱ずしといえば、握りずしが出てくる前は、すしといえば、半分はこれを指したものでした。おそらく、日本各地でいろいろなすしが作られていたのでしょう。江戸で握りずしを生み出したのも、実はベースにこのすしがあったのでした。
さて、京都や大坂ではこの箱ずしを、「こけらずし」とも言いました。「こけらずし」は具にトリガイなど薄っぺらいものを使うのが常だったのですが、大坂 の福本というすし屋がタイやアワビ、玉子焼きなど用いることを「発明」したのです。結果、具はふくれ上がり、その分、ご飯は減っていきました。また、それ まで使っていた重石をやめ、押しは手だけ。長く押しをかけるのではなく、店頭でぎゅっと押して、売るようにもしました。
こうして、今の大阪ずしは完成に向かってゆきます。
*フルセの巻きずし*
2009.02.27
2~3月初旬になると瀬戸内沿岸では、イカナゴの漁期がやって来る。有名な「くぎ煮」の材料として知られているが、あれは「シンコ」と呼ばれる、 卵からかえったすぐのもの。細かな身体は文字通り「釘」のようにか細い。しかし、シンコの時に捕まらなかったものがいる。それらは冬場、地中にもぐり、1 年ほど経ったら、シンコに混じって漁獲される。これがフルセである。体長10センチ前後。ドジョウのようである。もちろん、シンコに比べれば、太さも段違 いに大きい。
このフルセをつけ焼きにし、芯にして巻いたものが、フルセの巻きずしである。兵庫県明石市周辺の漁村では、漁の神・舟の神の祭りのほか、「春の節句(三 月のひな祭り)」のごちそうに欠かせない。人参・かんぴょう・高野豆腐と一緒に巻き、写真はキュウリと卵焼きが巻かれているが、あくまでも中巻きであっ て、断じて細巻きでも太巻きでもない。
フルセは、もともとはアナゴの代わりに入れたのが始まりというが、アナゴと違うのは味。悪く言えば「洗練されていない、独得の泥臭い味」と言えるが、要 するに、「素朴な味」。なんとも「ひなびた味」がするのである。いつものアナゴのタレ、甘い煮汁の味が、強く感じられた。
しかし、現在では作る人がいません。フルセの巻きずしは、昭和初期の味なのです。








