すしの雑学
「すし屋のカウンターにて」編 *その29*
2008.07.22
すしダネをたくさん並べたガラスケース、通称「ネタケース」は、おすし屋さんの代名詞のようなものですね。豊富なタネが入っていると、こちらも威勢がよくなって、注文を重ねてしまいそうです。
しかし、この「ネタケース」、その普及は意外に新しくて、戦後のことでした。例の「常陸屋の小林某」のアイデアだといいます。空襲で焼けた店を再建する 際に、カウンターと子上がりの「ドッキング」形式の店舗設計とともに、電気仕掛けのネタケースも広めていったのです。これが世の好評を得たことは、言うま でもありません。
もっとも、ガラスケース越しにすしタネを見せることは、戦前からあったことでした。ただしそれはサンプル的に見せてあるもので、注文を受けると、そのケース内の「サンプル」には手をつけず、それと同じタネを、冷蔵庫から出してくるというものでした。
*その29*
2008.07.22
さぁ、いよいよ握りずしの登場のお話をしましょうね。時期はだいたい文政年間(1818~1830)のこと。場所は江戸でありました。
それまでのすしは、大きな箱から抜き出し、それを細かく切って売る「箱ずし」が主流でありました。これは、大量に売れればよいのですが、そうばかりも 言っておられません。時には、箱から抜き出して2つ3つ売れたら、あとはずーっとお客さんが来ない、なんていうこともあります。こうなると、せっかく切っ たおすしが、表面が乾いてしまいます。
こんな効率の悪さを反省し、すしもひと工夫されました。あらかじめひと口サイズに握り、笹の葉で巻いてから箱に入れて、押したのです。これなら乾燥の心 配はありません。売れ残っても大丈夫です。しかし、まだ不満を抱いている人がいました。1830年に30歳前になろうかという、華屋与兵衛でありました。 その不満とは…?以下、次号です。
*サバずし*
2008.07.22
今月のすしは、サバずしです。「ちょっと待ってくれよ。サバの旬ってのは秋だろ?」とか「冬のサバが脂が乗りきってて美味だ」とか聞こえてきそう ですが、正真正銘、夏のすしなのです。このサバずしを食べる日は、ま、本当は「7月」なんですけれども、今は「8月」にやる人が多いでしょうからいいで しょう。
昔風に言うと7月15日、今流に言えば8月の15日。お盆です。この日にサバずしを食べる習慣は、全国的にあるのです。それでは、なぜお盆にサバを食べるのでしょう。仏教行事に生ぐさものはご法度のはず、ですよね。
実は仏教では、食事どきに米粒を少し残しておいたり取り分けておいたりする習慣があります。これは、この世には縁者がいない「無縁仏」や食べ物に飢えている「餓鬼」に、食事を施してやろうというものです。これを「生飯」。仏教のことばで「サバ」と言います。
もちろん「鯖」とは何の関係もありませんが、日本人の間では、とりあえず、塩サバを一本持って夏のあいさつに…、ということになりました。もらった方は、 「それじゃぁサバずしでも」ということに。塩サバの塩加減が、サバずしにはちょうどよかったのでしょう。箱ずしでもにぎりずしでも、ちらしでも、要はサバ なら何でもいいのです。
真夏のサバずし。いかがですか?(写真は岐阜県のサバの箱ずし)








