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日比野日誌

すしの雑学

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すし屋の屋号編、オマケ版。『義経千本桜』のお話です。これの舞台になるのは奈良の吉野のすし屋で、その名も「釣瓶ずし」。なんとこの「釣瓶ずし」、奈良 県吉野町に実在しているのです。「自分は維盛から数えて何代目」と自慢するご主人ですが、それはウソでしょう。なにせ維盛のお話は平安時代のことで、なお さら、「お話の世界」なのですからね。それでも邸内には、芝居で出てくる敵役「いがみの権太」の墓までできているのです。あ、そうそう。すし屋の屋号に 「権太」とつくのが多いのも、ここからなんですよ。

実際の「釣瓶ずし」は、江戸時代、仙洞御所(上皇の住む場所)へアユずしを納めていたといいます。アユずしといっても酢を使うものでなく、発酵によっ て酸味を出すものでしたが、今は、昔ながらのアユずしの製造は辞めていまして、酢を使うアユの姿ずしになりました。釣瓶にも似た桶も、今は使わず、明治時 代のものが残っているだけです。

*その27*

2008.05.26

18世紀後半の出版物に出ているすし。次は天明5年(1785)の『大根一式料理秘密箱』からまいりましょう。ダイコンずしとダイコンのこけらずしという のが出ています。押しずしの作り方が出ていますが、ご飯の代わりにダイコンおろし(ダイコンずし)やたくあん(こけらずし)を使っています。ダイコンずし などはシイタケやキクラゲなどを入れて押しをかけるものですが、だれかやってみたい人、いますか?
寛政5年(1793)の『甘藷百珍』は、文字通りサツマイモの料理で満載。巻きずしイモときりすしイモとおまんずしイモが出ており、先の『大根一式…』 と似ていますが、こちらはご飯も使うと書いてあります。巻きずしイモは、ゆでて赤青黄色に色をつけたイモを芯に、ご飯とゆでイモで巻くもの。なかなか色合 いはよさそうですが、考えてみればイモと米。デンプンばかりです。復元するのはいいですが、ダイエット中の人にはちょっと…。

27吉備女子。何て読むかわかりますか? キビナゴ、ですよ。
キビナゴはニシン科に属する、小さな細長い魚。日本では中部地方以南に棲む暖地系の魚で、高知・長崎・鹿児島などで水揚げが多いです。傷みやすいので、 近辺だけにしか流通しないようですから、東日本の方にはなじみが薄いかもわかりませんね。春から初夏にかけてが産卵期、すなわち旬です。
調理法は、天ぷら・煮付け・干物と何でもできますが、何といっても刺身。刃物など使わず、手で開きます。そうして剥いた身は半透明。小骨が多いですが、脂が少なく、甘みさえ感じられます。
写真はキビナゴの握りずしと押しずしです。鹿児島県で撮影しました。銀色に光るライン1本分がキビナゴの片身ですから、銀のライン2本で1尾になります。ということは、握りずしは2尾で1カン。うーん、小さい。

押しずしの方は、加治木町のおすし屋さんが開発したもの。商売モノにはならないといわれたキビナゴのすしでしたが、長年の苦労が実り、冷凍化に成功。今では、カチカチに凍ったキビナゴずしが、鹿児島空港で売っているとか。

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