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日比野日誌

すしの雑学

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近頃のすし屋さんでは、見かけなくなっています。以前、そうですねぇ、30~40年ほど前は、そんなにも珍しくもなかったように思いますがね。何だと思います?
答えは水道。すし屋のカウンター席に座ると、目の前が食べるところ。白木の材木で作ってあるところですよ。その奥が、ちょっと高くなっている「つけ 台」。注文したすしを、職人さんが置いてくれるところです。つまり、すしを食べるところと置くところは高さに差があるわけで、この差を利用して水道管を通 すのです。水が出っ放しのこともありますし、蛇口がついている場合もありますが、とにかく、客は自由に水を使うことができるのです。逆に、職人からは見え ません。
戦前の東京のすし屋の話。惜しげもなく蛇口をつけたカウンター席が、写真に残ってました。「そりゃあ自慢だったよ」というのは、現役を退いたご当主です。
それを聞いてた私の友人。「えっ、あれって東京にもあったの? 名古屋のものじゃないの?」
すみません。この件につきましては、未調査です。

*その22*

2007.12.25

さて、まさに「しょうもない理由」で生まれてしまった巻きずし。最初の頃は、魚の皮。何の魚だかわかりませんが、魚の皮で巻いたのです。それから、和紙。 和紙で巻いて輪切りにして食べるのですから、当然、和紙は剥いて食べなければなりません。カステラのようなもの、でしょうか。
しかし、それでは飽き足らない。というより、面倒くさい、と考えます。どうせなら剥かずに食べてしまえるものを…。というわけで、コンブ・ワカメ・ノリ などの海藻類、卵焼き、油揚げなどが注目されました。よく、「海苔巻きが先だろ?」「あとのやつは、それにヒントを得て、後から考え出されたんだろ?」な どと言われますが、とんでもない。和歌山の郷土料理にもなっている「メマキ(ワカメで巻いた巻きずし)」は、早くも享和2年(1802)の『名飯部類』に 載っているのです。
それにしても、ワカメで巻くなんて難しそう…、なんて考えませんか。
大丈夫です。ワカメのシートというのが、和歌山には売っているのです。

22福島県会津地方は、正月料理として、このニシンずしを作ります。これは身欠きニシンをひと晩かけて水で戻し、ご飯と糀の中に漬けたもの。一緒にダ イコンやニンジンを漬けるのがふつうですが、中には「カノシタ」と呼ばれるおいしい、かつ貴重なキノコを入れる人も。こうなると、高級品です。そうして、 サンショウの葉っぱでふたを閉めて、約ひと月、置いておくのです。私も、いただきました。
さて、お味ですが、これが実に美味しい。糀の作用が効いて、ほんのり甘く、ほんのり酸っぱい。その絶妙な加減がたまらない。左党の人は、お酒が恋しくなりますがね。ただ、ひとつモノを言わせていただくと、歯の弱った人には、少々硬いような…。
「そういう時は、こうするの」とニシンをつまむと、オーブントースターの中へ放りこんで3分間。チ~ン。うっすらと焦げ目がついたニシンずしができ ちゃった。熱いのを頬張ると、さっきの歯ざわりはどこへやら。あれだけがんばって歯を立てたニシンが、いともやわらかに、身がほぐれてしまったのです。
「歯が悪い人には、昔からこうするの。いや、教えられるんじゃないのよ。みんな、おとうさんやおかあさんを見て、歳を取った人のことを考えるのよ。歳取 りゃ、歯も弱くなる。そしたらどうするか、ってね。自然に生まれた知恵なのよ。さすが、ニシン(二親)のすしよね~」

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