すしの雑学
「すし屋のカウンターにて」編 *その15*
2007.05.27
オリの話
握りずし屋で「オリ」と言えば、「折り箱」のこと。木箱、と言っても無骨な木の箱じゃありません。「経木」と言う、薄っぺらい板で作られています。
握りずしができた江戸時代末期。庶民にとっての握りずしは、ほとんどが、屋台でつまむものか、もしくは店から家に持って帰って食べるもの、だったので す。すしを家に持って帰る方法…。例えば、小さい木桶(今のすし屋さんが使う、塗りの立派なものではなく、ホントの木の桶です)に詰め込んで、とか、皿に 盛って風呂敷に包んで、だとか、いろいろなやり方が考えられました。もちろん、すしを売り物にすることはナマナレの時代から行われており、そこでは木箱 (こっちは無骨なゴツイやつ)を積み重ねていました。ですから、小さな「折り箱」に詰めるというのも、ある意味、自然なことかも知れません。
さて、この欄のテーマ、ここ5回は、ある共通点を持っています。ガリ、アガリ、ノリ、シャリ、そして今日のオリ。わかりますか?
すし屋さんにとって大事なものなんですが、「わざわざ、お金はもらえない」という代物です。そしてそれは、お尻に「リ」がついているのです。おわか「リ」?
*その15*
2007.05.27
ナマナレから一歩進んだナマナレイズシ…、ああ、ややこしい。そこで以前からのナマナレを「古式ナマナレ」、新しくなって混ぜ物をするようになったナマナ レを「改良型ナマナレ」と呼ぶようにしましょう。その「改良型ナマナレ」の話で、ここのところはイズシばかりをお話ししてきたのですが、むろん、イズシに 尽きるわけではありません。
別の方法として。酒粕を混ぜる方法も現れました。江戸時代初期(元禄2年=1689)の料理本『合類日用料理抄』の中にある「鮭子籠の鮨」というのがそ れです。サケ1尺につき糀3合を混ぜ合わせれば、重石は軽くて済む上、期間も、冬なら12?13日、夏なら5日で発酵する、と解説されています。古式ナマ ナレなら最低1か月たたないと骨までやわらかくなりませんから、粕は明らかに発酵を促進させるものでした。
しかしこの粕を混ぜる方法はあまり人気がなかったというか、次の方法に代わったというか、以後の文献にもあまり乗っておらず、現代にも伝わっていることはありません。古い時代のことと片づけておきましょうか。
*サワラのこうこずし*
2007.05.27
魚ヘンに春と書いて、なんと読みますか。「鰆」です。
答えは「サワラ」。サバに似た魚ですが、サッパリとした味わいで、若い頃は「サゴシ」とも呼ばれますね。瀬戸内の、特に岡山や香川で有名な魚です。
さて、写真でご紹介するのは「サワラのこうこずし」。上に乗っている切り身は、サゴシでなくサワラ。成魚で、1メートルほどもある魚です。
では、「こうこずし」とは何でしょう。「こうこ」とは「たくあん」のこと。ほら、「おコウコ」と呼ぶでしょう。それを、すし飯の中に混ぜているのです。でも、なんでまたたくあん漬けがおすしに?
なんでも、最初はサワラだけのすしだったとのこと。たくあんはあくまでも横についていただけのものでしたが、何かの拍子に、すし飯の中に。食べてみると……。「うん、これはうまい!!」 それからは、あえてたくあんを混ぜて食べるようになったと言います。
サワラの旬は、何といっても春。岡山県日生地方に春の到来を告げる、ぜいたくですが素朴な香りのするすしです。








