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日比野日誌

すしの雑学

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海苔の話

海苔に方向があるのをご存じですか。
まず、すしに使う海苔って、正方形ではない、ですよね。長い方と短い方があります。そして、ウラ(ザラザラした方)を見てください。数センチほどの幅で 「糸目」かあり、さらによく見ると、「糸目」に垂直に、細い線が何本も走っているのがわかるでしょう。これが、海苔を漉く時に使った「簀の子(すのこ)」 なのです。簀の子の細い竹が走る方向を「横」と言い、「糸目」の方向を「縦」と言うのです。海苔を横長におけば、方向は「横」なのですね。
海苔巻きで、海苔を「横」に使うのが江戸風、「縦」に使うのが関西風、と言われます。なるほど、中に贅を凝らした大阪のすしは、少しでも巻き込む長さが 欲しいところです。あ、もうひとつ、違うところがありました。江戸風のすしが「焼き海苔」を使うのに、大阪ずしは「干し海苔」を使うんです。できたての 「パリッ」とした音が心地よい江戸風の焼き海苔に対し、じっくり寝かせて食べさせる大阪のすしは、焼いてない、干しただけの海苔の方が、都合が良かったの です。
今は、どこへ行っても、江戸風のすし屋ばかりになりました。縦巻きの巻き寿司も、少なくなったようで…。

*その13*

2007.04.02

発酵促進剤として糀を使う「イズシ」のお話です。
その語源となった北海道や青森県や新潟県などの飯(い)ずしもそうですが、サケやホッケなどの魚とご飯と糀。もちろん、塩も入りますが、それ以外に重要 なものは野菜です。ダイコンやニンジンなどのね。当世流のイズシなら、キュウリやキャベツなどが入っていましょう。あ、それと、場所によってはヒメタケや 色とりどりの海藻類も入れますね。野菜といっても、実質は山菜や海藻なども含んでいるのです。
この傾向は南下してもあって、富山や石川などではカブラずしにダイコンずしがあります。名前だけ見ると魚など入っていないようですが、カブラずしにはブ リが、ダイコンずしにはニシンが、それぞれ入っています。おもしろいことに、ダイコンずしと同じ材料と製法で作られるすしを、福井ではニシンずしと呼んで います。
さて、このイズシ。作り方は2通りあるのですが、これを「単なる地域性」と呼んでよいのか、このすしの発生に関わる大きな差というべきなのか、私にはわかりません。次回は、この差について考えます。

*ハエずし*

2007.04.02

13ハエって、蝿のこと? いいえ。ハエって小魚のことなんです。
「そうか。ハエって川魚のハヤのことだね。西日本ではオイカワの、東日本ではウグイのこと、だよね」
えぇ、まぁ。そうなんです。が、このすしを作る濃尾平野(愛知県・岐阜県・三重県)では、どちらでもなくて「ハエ=小ブナ」なのです。
ハエという魚は寒バエ、つまり、1~2月に獲れるものが、しっかり身がついていて美味しいんです。これをたくさん獲ってきて、佃煮にしておきますね。や がて暖かくなり、いよいよ農作業も本格化。さぁ、春祭りだ! というわけで、4~5月の祭りの膳には、このようなすしが並びます。
佃煮の甘さと、それでいて、ちょっぴりほろ苦くて。子どもたちにも、酒呑みのおじさんからも、好まれたものでした。
これとよく似ているのがモロコずし。味は、すこぶるよろしい。でもこれは、ハエずしよりもお値段がお高め。モロコというのは、高級魚なのです。
ハエずしは、春の到来を告げる、庶民の味なのです。

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