すしの雑学
「すし屋のカウンターにて」編 *その4*
2006.07.04
握りずしは素手でつまむか、箸でいただくか。
さぁ、このシリーズ始まって以来の「連続版」ですよ。握りずしの食べ方です。
あなたは手で? それとも箸で? 今月は「素手」派の人に聞いてみます。
「てやんでぇ。こちとら江戸っ子よ。すしを食おうって時に、わざわざ箸なんか持ち出すヤツがいるけぇ」「だいたい握りずしってなぁ、屋台が発祥なんだ。屋 台の客って、自分の好きなもんだけ食って帰っちまう。店だってそうだよ。ひとりひとりに手も目も予算もかけられねぇ。箸なんかもったいなくて、置いてねぇ んだ」
ごもっともな話です。でも、箸を使う人の話も聞いてみなければ…。来月は「箸」派の方のご意見です。
*その4*
2006.07.04
中国では、すしは東南アジアから来た「外来の食べ物」でした。
「世に中国人ほど優れた民族はいない。食物も同じで、よその国々の食べ物なんて取るに足りない!」とでも言いたかったのでしょうか。中国漢民族の間では、 すしという食べ物を、たいして重要なものとは見ていなかったのです。当然、中国の中心部では、見向きもされなかったようです。
文字の国・中国で、辞書を執筆しようという人は、相当な学者のはずです。その学者ですら、すしに関しては耳学問。実物を食べて調理法を述べる、ということ はしませんでした。鮨がシオカラで、鮓がシオカラに米を混ぜたヤツ、といった区別などできるわけもなく、遂に3世紀の末、張揖というオッサン、もとい、偉 大なる文字学者が、自著『廣雅』の中で、「鮨は鮓なり」と書いちゃいました。以来、鮨と鮓には明確な区別がなくなったと言われています。
で、区別のつかないまま文字が日本に輸入され、現在に至っているというわけです。だからわが国では、鮨も鮓も「すし」なんですね。
*ふじずし*
2006.07.04
滋賀県甲賀市甲賀町。ここにある大鳥神社では、7月に入ると、大原祇園祭礼の準備が始まります。宝暦年間(1750年代)から始まる祭りで、現在も、宵宮 (7月23日)における灯篭のぶつけ合いと本祭り(7月24日)における花奪いで、周囲の多くの人々を集めています。ちなみにこの祭り、滋賀県選択無形民 俗文化財でもあります。
そんな大鳥神社の参道近くでは「ふじずし」というすしが作られます。「簡単よ。まず、すしご飯を握るでしょ。その上に、サケでしょ、シイタケでしょ、あと は湯葉ね。1種類ずつ乗せて形を整えて、フジの葉っぱで包むわけ。これをすし箱で入れて、半日くらい押すとできあがり」と、話を聞く限りは、至極簡単。だ けど藤の葉っぱって、すしを包み込むほど大きかったっけ?
じつはこれが勘違いのモト。フジというのは藤ではなく、クルマフジのこと。地元でも、この名前を知る人は少なくなったとのこと。え? 今の名前? はい、葛(クズ)です。
夏の盛りにモウモウと繁る葛。しかしその影で、こんな涼しげなすしにもなるのです。








