日比野日誌
全国の郷土ずし紹介
群馬県みなかみ町といえば、有名な水上温泉郷がある町です。
そのみなかみ町の奥に藤原という地区があります。水上温泉のある駅前から1時間。
藤原ダムや藤原湖などがある山里は本当に「田舎」という感じのところで、
釣り名人たちにはイワナの宝庫。あこがれの地でもあります。
その藤原地区で、群馬県唯一の発酵ずしがあります。
いや、「ありました」という方が正確かな。
私がここへ行ったのは10年ほど前のこと。
その時、この味を守っていたのは、80歳を過ぎたおじいさんだけでありました。今も元気でいらっしゃるかどうか…。
そのおじいさんに、このすしを漬けるところを見せてもらいました。
3月〜9月の間にイワナを獲っておき、腹を出して塩漬けにします。
この頃だったら冷凍もあり、ですがね。そして11月頃にご飯に漬けるのです。木桶に寝かせて、1ヶ月ほど発酵させるのです。
できたおすしは、ぷんと発酵の匂いが漂ってきます。
そこにおじいさんは、びんから何かを出してきて塗っています。自作のワサビ漬けです。
天然のワサビは涙が出るほど辛いのですが、これがまた、すしに合う!
イワナずしの甘酸っぱさにワサビの辛味。
こうすると、ワサビ漬けを塗っていない発酵ずしが、平べったい味に感じました。
どうぞ、今でも、忘れずに作り続けられていますように…。