日比野日誌
全国の郷土ずし紹介
瀬戸内の島々では、冠婚葬祭は一大イベントです。
葬式といっても、100人ほどの人が来るのはめずらしくありません。
ですから、3回忌とかいうような年忌の法要は、ものすごい準備を経て実施されます。
時期は、年中忙しい島々ですが、比較的みんなが暇になるのが2〜3月。
広島県上蒲刈島でもこの時期、法事の手伝いに、
今日は○○さんチ、明日は△△さんチと出かけます。
このため、女たちはいつもより余計に忙しいのですが…。
この島では、豆腐も手作りにしたものでした。そのため、おからもたくさん出ます。
そのおからを利用したのが「あずまずし」です。
すしといっても、人前に堂々と出せるものではない、いわば「裏方」の賄い料理のようなものです。
作り方は簡単。
残りご飯におからをあわせ、均一になるよう混ぜてから合わせ酢に醤油を加えるのです。
具は、何でもいいですが、仏事には黒豆・ニンジン・油揚げでしょうか。
時には結婚式にも作られ、そのときはエビやかまぼこなども入ったと言われます。
このあずまずし。世間で言われる「コノシロのおから漬け」とは違います。
呉市蒲刈島、それも大浦地区にのみ見られる、大変貴重な民俗です。
でも昨今、法事もパック料理の時代。
賄いのあずまずしの味を知る人も、少なくなりました。
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