日比野日誌
全国の郷土ずし紹介
8月27日。静岡県静岡市の田代地区では一週間遅れで、「お盆」が開かれます。ひと昔前は、そりゃあもう大変なにぎわいがあったそうです。
ところでこの日、諏訪神社の社務所では、一風変わったものが目を引きます。ヤマメの腹を開いて、中には粟。そんなものが、桶の中にビッシリと入っています。
このヤマメ。実はこの1週間ほど前に、山奥の明神谷から釣り上げたもの。明神谷は、この祭りのためだけに漁が許される聖域で、捕獲後はすぐそこで、獲っ たことを神様に報告すべく、祭りが行われます。ヤマメはその後、谷を出て、神主宅で塩漬けにされます。
8月25日、地元で採れた粟でご飯を炊いて、塩漬けしておいたヤマメの腹に詰め込むのです。そして桶の中に詰められ、翌26日の日暮れ過ぎに桶から出され、諏訪神社の神前に、神主だけの手で供えられます。
こうして27日の本祭りの日は、神前で車座になった氏子たちに、ヤマメが振る舞われます。ただし、しっかり塩辛い。このため、その場でこれを食べるという人は少なく、持ち帰ってから焼いて、お茶漬けにするのだそう。う?ん、それもいいかも。
なお、このヤマメの粟漬け。おすしの原形だという人がありますが、さぁ、どうだか…。みなさんはどう思われますか。