日比野日誌
すしの雑学
「オリ」、すなわち「折り箱」の話は前にもしましたね。経木で作った、薄っぺらな板の箱ですが、あの、ふたにほんのりと移り香した酢の香りは、食欲をそそ るものです。お父さんがおみやげにすし折りを持って帰ってくる、あの時の香りと同じなんですよ。そうすると、どんなに遅い時間でも起きてきておすしをつま む…、こんな経験、ありませんか?
ところが最近は、事情が違います。箱が木製ではなくなってる。よく見かけるのは、アルミの容器にプラスチックのフタのやつ。スーパーなどの総菜店で売っ てるのなんか、まずこれです。まぁスーパーならともかく、すし屋として立派な看板かけて商売をしている店でも、これで「お持ち帰り」させるところがありま す。
透明のフタは、一見、便利なようですが、日本人は「中に何が入っているかな」とフタを開ける瞬間が、いちばん楽しいのだそうです。中がはっきりと見えているのは、ちょっと…。