日比野日誌
すしの雑学
近ごろはずいぶん減ってきましたが、「立喰」って表現、見たことありませんか?
「立喰」。立ち喰い。立って喰う、という意味ですよね。でも、実際に立って食べるようなおすし屋さんって、見たことあります?
実は、出始めの屋台の握りずし屋さんは、お客さんを立たせて食べさせてました。どうせお客さんは、すしを2つ3つ食べるだけで、なにも、腹いっぱいにす るわけじゃありません。手間を省きたい屋台の握りずし屋。座るなんて、それこそ無駄なことです。だから「立喰」。代わりにすし屋さんは座って握るのが常で して、「すし屋が立っちまったらお終いだ!」とさえ言われたほどです。昭和になっても、まだこの習慣は残っていました。
今では、お客は座り、職人が立つ、という時代です。でも、かつてのなごりは名前に残り、「立喰」ということばは、のれんの隅っこなどに書かれていることがあります。