日比野日誌
全国の郷土ずし紹介
「春告魚」と書いて「ニシン」と呼びます。これはニシンが「春が来たことを告げる魚」、つまり初春がたくさん取れる時期だからです。
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寒い海が故郷のニシンの産卵期は、北海道石狩地方では1月末から5月、サハリンからオホーツクでは3月から6月ころだといわれます。その直前が旬ですから、「春告魚」と呼ばれるわけですねぇ。ですが、もうひとつの旬があるのをご存知ですか?
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腹に子どもをはらんだニシンも美味しいですが、それよりも早く、産卵を前にしてたっぷり脂の乗ったニシンも、これまた美味しいものです。
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いや、ニシン自体の味だったら、むしろ10月から11月のニシンの方に軍配が上がるかもわかりません。北海道では、特に太平洋沿岸部では、内地ではお目にかからない、活き活きとしたニシンがすしダネとして使われるのです。写真に撮ったのは根室市内の回転ずし屋。地元ではこんなにもポピュラーなんです。
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さて味の方ですが、一般にニシンの評判は「臭い」「水っぽい」と、あまり高くない。でも、旬の時期の、活きのいいニシンだったら、独特の臭みもなく、脂がしっかり乗ってます。塩焼きも絶品ですし、もちろん、新鮮なものなら刺身やすしダネにも最適です。
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春が来る前のニシンを食べに、北海道道東地方に行ってみたくなりますねぇ。