日比野日誌

すしとあの人

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世界で最も短い文学作品・俳句。

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昔からあった「五七五」の文字遊びを独特の日本芸術にまで高めたのは、江戸期の松尾芭蕉。誰もが知っている俳人です。

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彼の代表作『奥の細道』は、芭蕉らしい旅の紀行文と、それに添えられた俳句で綴られた名作です。

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芭蕉には全国各地にたくさんの友人や門人がおり、行く先々で旧交をあたためながら俳句の会を開いておりました。

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その記録、というか実録版が『猿蓑』や『となみ山』などの俳諧付合です。

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そこでは芭蕉を交えた数名が、「五七五」の長句に合わせて次の人が「七七」の短句を読む様子が描かれています。

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ちなみに、先に出される句を前句、これに付ける句を付句といい、前句の中の言葉や物に縁のあるものを選んで付句を読みます。

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もちろん季節感も必要で、また情緒面も評価されますから、かなり高度な文字のゲームです。

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そんな芭蕉の作品を見てみますと、まぁすしに関する俳句は少ない。というより、私の知るかぎり、すしを詠んだ俳句は皆無です。

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お茶は「駿河路や 花橘も 茶の匂ひ(香り高い花橘も、駿河の茶の香りの素晴しさにはかなわない)」という句がありました。

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どうも名のある人はすしを軽んじている…、いや、これは前回も前々回もぼやいた言葉。

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そんなものメじゃないと、付合集を探しておりますと、『続・猿蓑』に「盆じまい 一荷で値ぎる 鮨の魚」というのがありました。

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「盆じまいをする頃になれば、今から魚を買ってすしをつける人もいないだろうなぁ。魚の値段を値切ってみるか」ってな気持ちを読んでるんでしょうか。すしとはまだ、発酵ずしだった頃の話です。

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『となみ山』にもありました。

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「此の宿を わめいて通る 鮎の鮓」という前句に続いて、芭蕉が「青田うねりて 夕立ちのかぜ」と付合をしています。

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前句は浪化の作。越中井波の瑞泉寺の僧侶です。

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「この宿」というのがどの宿なのかは知りませんが、アユのすしが騒々しく通っていくのですから、将軍家献上のすしだったのかもわかりません。北陸だったら小浜藩のアユずしが有名でした。

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アユずしは仰々しく包まれて宿を通り過ぎ、その「一行」が宿に着く前に逐一「前触れ」が走り、「まもなく『アユずし様ご一行』が到着されます」と告げられたのです。

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そんな騒々しさとは一変し、青い田んぼを夕立が降り、そのあとをビューッと風が吹き抜ける風景が詠まれます。

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まさに「動」から「静」へ、描写の大転換を試みています。

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とはいえ、私の芭蕉観はこの程度です。でもその門下の一人、宝井其角は、すしの句を多く作っています。その話は、次回にしましょう。

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