日比野日誌
全国の郷土ずし紹介
9月 愛知県春日井市の「サバずし」
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愛知県にはめずらしい発酵させるすしが、
名古屋市の北東部から春日井、尾張旭、瀬戸にかけてにあります。
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魚はアジやサバ。
中でもサバずしは、暑さの残る晩夏から秋にかけてが旬なのです。
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このすしの名前は、元は「サバずし」と呼んだのでしょうが、
今では「サバの一本すし」と名前を変えています。
なんとなく、かっこいいですね。
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また、昔には「銅金ずし」ともいいました。
銅金とは包丁の刃を持ち手の木にくっつけるところにある、あの金具のこと。
輪切りにしたサバを銅金に見立てたのでしょう。
今の人には、絶対わからないことばです。
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さて作り方は、普通のサバの姿ずしを作りますが、
それを竹皮でくるみまして、縄で数カ所止めます。
そして置くこと、最低2日。
人によっては1週間という人もあります。
当然、酢が使ってあっても中は発酵しますから、臭いは日に日に強くなります。
それが好きな人には、たまらないでしょうね。
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食べるときは皮をむかず、縄で縛ったままを切ります。
発酵作用で中身は縮みますから、竹皮はちょっとよれていますが、
気にせず一つをとって、むいてください。
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中は、ちょっと癖のあるサバのすしです。
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名前と同様に、このすしは存在自体が忘れられています。
歴史の一部がなくなってしまって、本当に残念なことです。
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